介護予防新時代における歯科衛生士の口腔機能向上支援をスキルアップする実践教育
平成20年度「社会人の学び直しニーズ対応教育推進プログラム」の採択について
2008年9月に、本学は平成20年度「社会人の学び直しニーズ対応教育推進プログラム」に採択されました。
この教育プログラムは、全国の大学、短期大学、高等専門学校における教育研究資源を活用し、社会人の学び直しニーズに対応した教育プログラムを展開する優れた取組を支援するため、「大学・専修学校等における再チャレンジ支援推進プラン」において、文部科学省が優れた取組を選び、「社会人の学び直しニーズ対応教育推進プログラム」として実施していくものです。本学の教育と取組が評価され、同プログラムの採択を受けることができました。
1. 採択された教育テーマ
介護予防新時代における歯科衛生士の口腔機能向上支援をスキルアップする実践教育
2. 取組期間
平成20年度~22年度
3. 取組の趣旨
【口腔機能向上支援をスキルアップする実践教育】
超高齢社会を迎え、要介護者が増加しているいま、健康高齢者が要介護状態になることを予防する“介護予防”が急務です。特に、摂食・嚥下や発音などの口腔機能の向上により、誤嚥、肺炎、低栄養や脱水などの重篤な状態を予防でき、会話やコミュニケーションを通じてQOLも向上させることができます。さらに、医療費や介護給付費抑制という経済効果も期待できます。しかしながら、口腔ケアの専門家であるはずの歯科衛生士の多くは2年制教育課程の卒業者であり、口腔介護や口腔機能の向上支援を修得しているものは極めて少ないのが現状でした。
本事業では、歯科衛生士の国家資格を持ち就業中あるいは離職中の方を対象に、口腔介護及び口腔機能の向上支援を実践的に学ぶ教育プログラムを開発しました。プログラムは、歯科衛生士や介護福祉士等の教員の専門性を活かしたオムニバス講義・演習(受講者相互での実習)と、キャンパス内の介護施設入所者を対象とした臨地実習を中心に組み立てました。また、地域の歯科医師会や歯科衛生士会、行政機関、介護保険施設との連携により、本プログラム修了者の紹介や派遣を通じて、口腔介護による介護予防の普及を目標とするものです。
4.取組の内容
この取組は、平成18 年度に文科省の“特色ある大学教育支援プログラム”に選定された「口腔介護教育」をベースとするもので、歯科衛生士有資格者に“口腔介護と口腔機能向上支援”の修得をはかる教育プログラムです。
歯科衛生士資格を持ち就業中あるいは離職中の方を対象に、『介護予防新時代における歯科衛生士の口腔機能向上スキルアップ講座』を開講し、学内外の講師陣による専門性を活かしたオムニバス講義・演習(受講者相互での実習)と、キャンパス内の介護保険施設での臨地実習を実施しました。受講者は2年間で91名、聴講者はのべ1,012名でした。
- A 口腔介護の知識と技術 講義・演習(相互実習)
- 27 時間 2 単位
- B 日常生活介護の知識と技術 講義・演習(相互実習)
- 18 時間 1 単位
- C 介護施設実習 学園内の施設で臨地実習
- 32 時間 1 単位
受講定員:40 名。就業中の歯科衛生士が受講しやすいように週末の開講を原則とし、1 日2~8 時間の授業を22 日間実施、履修期間は約5ヶ月間でした。
本プログラム修了者には短期大学の4 単位を認定するほか、地域の歯科医師会や歯科衛生士会、行政機関、介護保険施設への紹介や派遣を通じて、“口腔介護と口腔機能向上支援”による介護予防の普及を目標としました。
文部科学省の委託事業終了後も、歯科医師・歯科衛生士のリカレント教育として『口腔介護スキルアップ講座』を開講しています。