福岡医療短期大学歯科衛生学科・教授
歯科医師・歯学博士
1997年 | 福岡歯科大学大学院修了 福岡歯科大学歯科保存学第Ⅱ講座 助手 |
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2007年 | 福岡医療短大歯科衛生学科 准教授 |
2017年~現在 | 福岡医療短大歯科衛生学科 教授 |
授業担当 | 「歯科予防処置論」、「歯科臨床概論」、「口腔介護論」、「歯内治療学」、「歯科診療補助論」、「歯周病治療学」、「臨床実習」、 専攻科:「専攻研究」ほか |
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学会活動 | 日本歯周病学会、日本歯科保存学会、日本歯科衛生教育学会、日本老年歯科医学会、日本神経科学学会、日本口腔ケア学会、日本歯科医学教育学会 |
科学研究費等 | 2005~2006年度科学研究費基盤研究(C)分担 2011~2014年度挑戦的萌芽研究 分担 2014~2016年度挑戦的萌芽研究 代表 2014~2016年度挑戦的萌芽研究 分担 2015年度奨学寄附金 代表 2017~2019年度挑戦的研究(萌芽) 分担 2017~2019年度挑戦的研究(萌芽) 代表 |
多くの人が「冷たい物を食べると頭がすっきりする」、「ミントなどの香りや味で目が覚めて勉強や仕事がはかどる」、「歯磨きすることで勉強の気分転換になる」など口腔内刺激が脳の機能に影響することを日常的に経験しているのではないでしょうか。ヒトの大脳の領域の中でおでこの部分に相当する前頭前野は、知的な思考と行動の機能を司る部位であり、特に前頭前野の機能局在部位の活動変化は認知機能や学習機能に強く関連していることから、前頭前野はヒトがヒトであるために最も重要な部分と言えます。上述のような幅広い口腔内の運動・感覚刺激は、この大脳前頭前野の活動変化と関連があることが示唆されます。
そこで私たちの研究グループでは、口腔機能の向上が認知機能の維持・向上に繋がるのではないかという仮説を立て、口腔内の寒冷刺激やミントの味覚・嗅覚刺激と大脳前頭前野の機能局在部位の活動変化を、前頭前野の機能局在部位の活動変化を可視化することができる近赤外線分光法を用いて解析を行いました。
その結果、ミント系味覚・嗅覚刺激、口腔内寒冷刺激ともに局在血流の増加が認められました。さらに、各刺激前後に注意機能・遂行機能検査(ストループテスト)の作業学習効率を測定した結果、各刺激群は刺激を加えなかったコントロール群と比較して作業学習効率の増加が認められました。これにより、口腔内への刺激は、大脳前頭前野の機能局在部位を活性化する可能性が示唆されました。
今後舌、口唇、頬部等の運動刺激について同様の解析を行い、上記の感覚刺激や運動刺激を用いて高齢者の認知機能向上のための口腔機能向上プログラムの臨床応用に繋げていきたいと考えています。